ウタチャンホムペ

たまに質問に答えたり、絵を描いたりします。リンクフリーです。いつもはここにいます→ツイッター@uta914

「漫画を描くより楽だから」という理由で小説に転向する人を見るとモヤモヤする。

 

うた子さんこんにちは。いつもうた子さんのツイート楽しく見させていただいております。
最近少しもやっとすることがあったので吐き出させてください。
 
私は今いるジャンルで小説を書いています。幸いなことに見てくださる方もいて、細く長く続けられています。同人誌も何冊か出しており、楽しく活動することができています。
ですが最近、自ジャンルで絵描きの方が小説書きに転向することが多いように感じたのです。それがなんだか、『漫画よりも小説の方が楽だから』という気持ちから出ているのではないかと疑ってしまっています。フォロワーさんの中にもそういう方がいて、小説のことを軽んじられている気持ちになってしまいます。
私が単に気にしてるだけかとそのときは思ったのですが、「漫画じゃ面倒なことも小説だと楽でしょ」という趣旨のツイートを見てしまい、かなりショックを受けてしまいました。漫画ではできないような表現が小説では可能だと思っているため、容易だという理由だけで小説へ転向されるのは精神的にきついものがありました。もともと絵を描いていた方が書く小説は多くの評価を集めており、小説だからこそできることをと思いながら書いていた私はその点ももやもやしてしまいました。
 
私の心が狭いという自覚はあります。ですが、そうした方々の作品をもうまっさらな気持ちで見ることができません。
小説のことをばかにされたという気持ちが離れません。
 
ぐだぐだとしたことを書いてしまい申し訳ありません。

 

 

 

こんにちは。
 
人間って、自分がやったことがなく、かつ他人が楽しく、または簡単にやっている(ように見える)ものって、「簡単そう」って思ってしまう傾向にあるのかな。と思います。
 
「絵なんて、サラサラ〜って描けるんでしょ?無料で描いてよ」とリクエストされて憤慨した…なんていうのはよく聞く話ですね。
 
なにか「もの」をつくるということは、すべて楽しい作業ではあるけれど、それぞれ違った苦しみがあって、そのものづくり特有の楽しみも苦しみも、実際にやってみなければ、なかなか解りづらいものですね。
 
例えば、小説を書いたことのない人間が、絵を描く時に苦しいとき「中世ファンタジーの鎧、作画コストが高すぎる!文章であれば『重厚な鎧』一言で済むのに!」と思った時「小説なら楽なのに」と言ってしまうかもしれない。
例えば、映画を撮ったことのない人間が、絵を描く時に苦しいとき、「豪奢な洋館のシーン、作画コストが高すぎる!映画であれば、実際の洋館で撮り放題なのになあ!」と思った時「映画なら楽なのに」と言ってしまうかもしれない。
 
その「楽なのに」に、どんな意図が含まれているか、本人にしか分からない。
でも、「その表現の方が楽でしょう」と言って小説を書くこと、もしくは映画を撮ることを実行した人間の「楽でしょう」という言葉に、馬鹿にする意図は一切ない気がします。
なにかを表現したい時、自分の表現したいことをより低コストで再現できると思いついた別の方法を模索し、チャレンジするのはごく自然なことであると私は感じます。
 
小説を実際に書いてみることで、小説特有の楽しみ(もしくは「楽さ」)苦しみを知れるかもしれない。映画を実際に撮ってみることで、映画特有の楽しみ、そして苦しみを知れるかもしれない。
 
そして「小説なら楽なのになあ」と言っていた人が、また小説を2作目、3作目と作っているのなら、その人は本当に小説を書くのが、漫画を描くより「楽だ(低コストだ)」と思ったのかもしれません。
でも、それをどう考えるかは人それぞれだし、表現したいことをより低コストな手段を用いて表現しても、その手段を軽んじているとは私にはあまり感じません。
何か表現をする人間が、その手段を軽んじていることは少ないんじゃないかな。と思います。
 
つまり「楽だと感じる(もしくは口に出す)」≠「馬鹿にする」であるということです。
例えば、私はストーリー漫画を描くより、実録漫画を描くほうが楽ですが、実録漫画を馬鹿にしていません。どちらも大好きだし、どちらの面白さも難しさも、全てではありませんが知っています。でも両方やって比較したうえで「実録漫画を描く方が、楽だなあ」と思います。でも決してこの「楽」に馬鹿にしたニュアンスは含んでいないんです。
 
同人って、どんな志で、なにをしても自己責任のもと自由であり「楽だから」という理由で、表現方法を選んでも、誰にも咎められません。それが、漫画でも、小説でも、映像でも、音楽でも。人によって楽な方法は違います。(日本人は識字率が高く、作文を書く訓練も教育されているので、下地の薄い絵や音楽より、そのアドバンテージ分、文章を書く方が楽そうだ。と感じる人が多いのは自然な事かもしれません。)
同じように、質問者さんのように「これでしか出来ない表現がある!」「この表現がやりたい!」と思い、表現方法を選ぶのも自由です。
 
ところで質問者さんが、信念を持って小説を書いているのは伝わった上で、これは提案なのですが…質問者さんも漫画を描いてみるというのはどうでしょうか?
1つの表現方法を突き詰めるのも良いかもしれませんが、人がやっているように2足のわらじを履くことで、なにか解る事があるかもしれない……。どっちもやってみることで、何か解る事が、あるのかもしれない……。